ゴー宣DOJO

BLOGブログ
切通理作
2017.8.8 01:45

いまの自民党にない「与党精神」


  政治家が世の中にメッセージを伝える時、当然反対勢力、反対陣営との戦いを考えなければいけないけれども、それ以前に、自分たちの政党の中でのコンセンサスを得なければならない。

 まさに手枷足枷の状態とはこのことだなと、先日の道場での、枝野幸男議員のお話を伺っていて思いました。


 そこにプラスして、一度でも政権与党の側に立ったことのある者は、下野したからって身軽になるわけではない。かつて政府として下した判断、命令に対して、いまはその立場にないからといって、後から矛盾したことを言うのは、政治家として無責任なのだという意識を枝野さんが強く持っていることが伝わってきました。


 細野議員の離党騒ぎなどに見られる混乱により、やはり安倍政権が続いた方が良いとか、もう民進党は解党した方がいいとか言い出す識者もいますが、小林さんの発言でハッとさせられたのは、自民党の側に、枝野さんのような、自己の発言の重みを引き受けていこうとする人間が果たして何人いるのかということ。


 それを前提にしながら、いまは決める側に居ない人間、つまり批判勢力に居るしかない民進党の方が、よりヴィジョンを持ち、提示していかなければ政権与党に返り咲く緊張感を持てないのではないかということも、井上達夫教授のお話を聞いていて強く感じました。


 「半分相手の立場を理解し、しかし原則に立った論議で欺瞞を廃す姿勢」を、我々市井の人間こそが持ち、糺していくべきだと、改めて教えられた道場でした。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

次回の開催予定

INFORMATIONお知らせ